「家の外壁に生えたツタ、おしゃれで気に入っているけど、放置して大丈夫かな?」
「ツタを撤去したいけど、自分でできるもの?それとも業者に頼むべき?」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
緑豊かなツタは、建物の外観に趣を与えてくれますが、その生命力の強さゆえに、放置すると建物に深刻なダメージを与えてしまうかもしれません。最悪の場合、外壁の劣化や雨漏り、建物の資産価値低下に繋がることもあるでしょう。
しかし、いざ撤去しようと思っても、正しい方法や手順、費用感がわからず、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな外壁のツタに関するあらゆるお悩みを解決するため、以下の内容をご紹介します。
- 外壁のツタを放置する具体的なリスク
- 自分でできるツタの撤去方法と必要な道具
- 専門業者に依頼する場合の費用相場と業者選びのポイント
- 撤去後の外壁メンテナンスとツタの再発防止策
この記事をお読みいただければ、あなたの状況にぴったりなツタの対処法がわかり、大切な家をツタの被害から守る具体的な行動がとれるようになります。
放置は危険!外壁のツタがもたらす5つの深刻なリスク
「ツタくらいで大げさな」と思われるかもしれませんが、ツタの繁殖力と壁への固着力は想像以上です。放置することで、以下のような様々なリスクを引き起こします。
1. 外壁材の劣化・ひび割れ
ツタは、気根(きこん)と呼ばれる細かい根を無数に伸ばし、外壁材のわずかな隙間や凹凸に侵入していきます。この気根が成長する過程で、モルタルやサイディング、レンガなどの外壁材を内側から圧迫し、ひび割れ(クラック)や欠損を引き起こすのです。特に、塗装面に広がったツタは、塗膜を直接突き破り、その防水機能を著しく低下させます。
2. 塗装の剥がれと雨漏りの誘発
ツタが壁面に固着する力は非常に強く、無理に剥がそうとすると、塗膜ごとごっそりと剥がれ落ちてしまいます。また、ツタの葉が壁面を覆い尽くすことで、壁内部の湿気が逃げにくくなり、カビや苔の発生原因となります。劣化した塗膜やひび割れ箇所から雨水が浸入し、構造躯体を腐食させる雨漏りへと発展するケースも少なくありません。
3. 害虫の発生・侵入経路になる
ツタの葉や茎が密集した場所は、ゴキブリやクモ、ムカデといった害虫にとって格好の隠れ家となります。湿気が多く、天敵からも身を守りやすい環境のため、害虫が繁殖しやすくなるのです。さらに、ツタを伝って2階の窓や換気口から害虫が室内に侵入してくることもあります。
4. 配管や配線の損傷
ツタは壁面だけでなく、雨樋やエアコンの配管、電線など、あらゆるものに絡みつきます。ツタが雨樋に詰まれば、雨水が正しく排水されず、オーバーフローして外壁を汚したり、雨漏りの原因になったりします。また、配管や配線に強く絡みつくことで、それらを締め付け、破損させてしまう危険性もあります。
5. 建物の資産価値の低下
手入れの行き届いていないツタは、建物の外観を損ない、「管理されていない家」という印象を与えてしまいます。将来的に不動産を売却する際に、ツタが原因で外壁の補修が必要と判断されれば、その分査定額が下がってしまう可能性は十分に考えられます。
あなたの家のツタはどのタイプ?種類と特徴を知ろう
一言で「ツタ」といっても、実は種類があり、その性質によって撤去の難易度が変わります。代表的なのは「ナツヅタ」と「フユヅタ(キヅタ)」です。
- ナツヅタ(夏蔦): ブドウ科。夏に葉が茂り、冬には落葉します。壁に吸盤のようなもので張り付くのが特徴です。落葉するため冬場は作業しやすいですが、壁に残る吸盤の跡が非常に厄介です。
- フユヅタ(冬蔦) / キヅタ: ウコギ科。常緑性で冬でも葉が枯れません。こちらは付着根(気根)を伸ばして壁に張り付きます。ナツヅタの吸盤よりもさらに強力に固着するため、撤去はより困難になります。
ご自宅のツタがどちらのタイプかを見極めることで、より適切な撤去方法を選択できます。
【DIY編】自分でできる!外壁のツタ撤去完全マニュアル
範囲が狭く、高所でない場所のツタであれば、ご自身で撤去することも可能です。ここでは、安全かつ効果的にツタを撤去するための手順と道具を詳しく解説します。
準備するもの(必須道具リスト)
【切断・除去用】
- 剪定バサミ、ノコギリ: 太い幹や茎を切断します。
- 皮すき(スクレーパー): 壁に残ったツタの跡や付着根を削り取るメインの道具です。ヘラ状で、壁を傷つけにくいのが特徴です。
- ワイヤーブラシ(金属ブラシ): 頑固な付着根を削り落とすのに使います。ただし、外壁材を傷つける可能性があるので、素材を選び、力加減に注意が必要です。
- カッターナイフ: 細かい部分の作業に使います。
【より効果的に除去するための道具】
- トーチバーナー: カセットコンロ用のガスボンベに取り付けて使用します。壁に残った吸盤や付着根をピンポイントで焼き切るのに非常に有効です。ただし、火の取り扱いには最大限の注意が必要です。
- 高圧洗浄機: 撤去後の壁に残った細かい汚れやカスを洗い流すのに便利です。
- 除草剤(グリホサート系推奨): ツタを根から枯らすために使用します。
【安全対策用】
- 厚手のゴム手袋、作業用手袋: 手の保護、滑り止め。
- ゴーグル(保護メガネ): 削り取った破片や薬剤から目を守ります。
- 長袖・長ズボン: 虫刺されや擦り傷を防ぎます。
- 脚立・ハシゴ: 高所作業で使いますが、転落リスクが非常に高いため、使用は慎重に判断してください。
実践!ツタ撤去の4ステップ
ステップ1:根元を断つ(枯らす)
生きているツタは水分を多く含み、壁への固着力も強いため、非常に剥がしにくいです。まずは、ツタの供給源である根元を断ち、枯らしてしまうのが最も効率的です。
- 地上付近の幹を切断: 地面から数cm〜数十cmの高さで、ツタの太い幹をノコギリなどで切断します。これにより、根からの水分や栄養の供給を止めます。
- 除草剤を塗布: 切断した幹の切り口(根側)に、原液に近い濃度の除草剤をハケなどで丁寧に塗布します。これにより、薬剤が根に吸収され、根系全体を枯らすことができます。効果が出るまでには数週間〜数ヶ月かかります。
- 注意点: 周辺の植栽に影響が出ないよう、薬剤が土壌にこぼれたり、他の植物に付着したりしないよう十分に注意してください。
ステップ2:ツタ本体を壁から剥がす
幹を切断し、除草剤の効果でツタが枯れてきたら(葉が茶色く変色し、パリパリになったら)、いよいよ本体を剥がす作業に入ります。
- 上から下へ: 基本は上から下に、手で引っ張って剥がしていきます。枯れているため、比較的剥がしやすくなっているはずです。
- 無理は禁物: 強く引っ張っても剥がれない場合は、無理をしないでください。外壁の塗装や素材ごと剥がれ落ちてしまう危険があります。剥がれにくい部分は、皮すきやスクレーパーを壁とツタの間に入れ込み、テコの原理で少しずつ剥がしていきます。
ステップ3:壁に残った付着根(吸盤)を徹底除去
ツタ本体を剥がしても、壁面にはおびただしい数の付着根や吸盤の跡が残っています。ここからが最も根気のいる作業です。
方法1:皮すき・ワイヤーブラシで削る
これが最も基本的な方法です。皮すきを使い、壁を傷つけないように注意しながら、根気よく跡を削り取っていきます。ワイヤーブラシは強力ですが、モルタルやサイディングの表面を傷つけるリスクがあるため、目立たない場所で試してから使用しましょう。
方法2:トーチバーナーで焼き切る
外壁塗装を後で行う予定がある場合に非常に有効な方法です。トーチバーナーの炎で付着根をピンポイントで炙ると、炭化してポロポロと取れやすくなります。
【火災注意!】
可燃物の近くでは絶対に使用しないでください。また、同じ場所に炎を当てすぎると壁が焦げたり、ひび割れたりする原因になるため、素早く動かしながら作業するのがコツです。必ず消火用の水を用意し、風のない日に行いましょう。
方法3:高圧洗浄機で洗い流す
ある程度削り取った後の仕上げとして、高圧洗浄機を使うと細かいカスをきれいに洗い流すことができます。ただし、水圧が強すぎると外壁を傷める可能性があるので、ノズルの距離や角度を調整しながら行いましょう。
ステップ4:清掃と後片付け
剥がしたツタや削り取ったカスは、お住まいの自治体のルールに従って正しく処分してください。大量に出る場合は、数回に分けてゴミ出しするか、専門の回収業者に依頼しましょう。
DIYの注意点:高所作業は絶対に無理をしない!
2階の壁面にまでツタが及んでいる場合、安易にハシゴをかけて作業するのは非常に危険です。不安定な足場での作業は、転落事故に繋がる重大なリスクを伴います。ご自身の安全が確保できない高さの作業は、迷わず専門業者に依頼してください。
【業者依頼編】プロに任せて安心!外壁ツタ撤去の完全ガイド
範囲が広い、高所作業が必要、自分で行う時間がない、きれいに仕上げたい、といった場合は、専門業者に依頼するのが最も安全かつ確実な選択です。
業者に依頼するメリット・デメリット
メリット
- 安全: 高所作業も安全対策を徹底して行ってくれる。
- 仕上がりが綺麗: 専門的な道具と技術で、付着根の跡も可能な限り除去してくれる。
- スピーディー: 手間と時間を大幅に節約できる。
- 外壁の状態も診断: 撤去と同時に外壁の劣化状況をチェックしてもらえる場合がある。
- 廃棄物処理も任せられる: 大量のツタの処分に困らない。
デメリット
- 費用がかかる: 当然ながら、DIYに比べてコストがかかります。
ツタ撤去の費用相場は?
建物の大きさやツタの範囲、足場の有無によって費用は大きく変動しますが、一般的な2階建て住宅(延床面積30坪程度)の場合、30,000円~100,000円程度が目安となります。
費用内訳の例
- 撤去作業費: 20,000円〜60,000円
- 発生材処分費: 5,000円〜15,000円
- 諸経費: 5,000円〜10,000円
- 足場設置費(必要な場合): 150,000円〜250,000円
高所作業で足場が必要になると、費用は一気に跳ね上がります。
外壁塗装とセットがお得!
もし、近い将来に外壁塗装を検討しているのであれば、ツタの撤去も塗装業者にまとめて依頼することを強くおすすめします。
- 足場代が節約できる: 塗装工事で必ず設置する足場を、ツタ撤去作業にも活用できるため、足場代が一度で済みます。
- 仕上がりが完璧: ツタを撤去した後の壁の傷や跡も、塗装の下地処理の段階で補修し、最終的に塗装で覆ってしまうため、新品同様の綺麗な壁に生まれ変わります。
失敗しない!業者選びの5つのチェックポイント
- 実績の確認: ホームページなどで、ツタ撤去の施工事例が豊富にあるか確認しましょう。
- 見積もりの明確さ: 「作業一式」ではなく、「撤去費用」「処分費用」「諸経費」など、項目ごとに詳細な金額が記載されているかチェックします。
- 作業範囲の確認: どこまでの跡を除去してくれるのか、写真などで事前にすり合わせを行いましょう。「完全に跡が消える」と安易に言う業者には注意が必要です。
- 損害保険への加入: 万が一、作業中に建物を破損させられた場合に備え、損害賠償保険に加入しているか確認しましょう。
- 相見積もりの実施: 必ず2〜3社から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討することが重要です。
もう悩まない!ツタの再発を防ぐための3つの対策
せっかくきれいに撤去しても、根本的な対策を怠ると、ツタは再び生えてきます。撤去後のメンテナンスが非常に重要です。
- 根を徹底的に除去する: 地中に残った根から再び芽を出す可能性があります。除草剤を使用したり、可能であれば掘り起こしたりして、根を根絶やしにすることが最も重要です。
- 防草シートを活用する: 建物の基礎周りなど、ツタが生えてきやすい地面に防草シートを敷くことで、新たな発生を物理的に防ぐことができます。
- 定期的な点検: 月に一度は建物の周りをチェックし、小さなツタが生えていないか確認しましょう。早期に発見すれば、手で簡単に引き抜くことができます。
まとめ:あなたの家に最適なツタ撤去方法は?
今回は、外壁のツタを撤去する方法について、ご自身で行う場合と業者に依頼する場合の両面から詳しく解説しました。
- 地上から手の届く範囲で、ツタの量が少ない → DIYに挑戦する価値あり。ただし、安全対策は万全に。
- ツタが2階まで及んでいる、範囲が広い、時間がない → 迷わず専門業者に相談しましょう。
- 外壁の汚れや劣化も気になっている → 外壁塗装とセットでの依頼が最も合理的で経済的です。
外壁のツタは、放置すればするほど除去が困難になり、建物へのダメージも深刻化していきます。
この記事を参考に、ぜひお早めの対策を検討してみてください。あなたの行動が、大切な住まいの寿命を延ばし、その価値を守ることに繋がります。